来週の相場

来週4月29日-5月3日週の為替相場は、全般的なドル高一服と調整ドル安、ドル/円でのドル安・円高から派生する全般的な円高の圧力と、中長期スパンでのドルの底堅さや、円の先安地合いの持続性をにらんだ展開が想定されよう。

前週に対ドルで下げ止まりから反発となったNZドル、カナダ・ドル、豪ドル、南アフリカ・ランドのほか、ユーロやポンドに関しては、反発の度合いと根強い戻り売り圧力が注視されそうだ。


ドル/円の週足テクニカルでは、ドルの下値メドとして、26週移動平均線111.29円前後、52週線111.18円前後、一目均衡表の転換線111.06円前後、300週移動平均線110.71円前後などが意識される。

週足の一目均衡表・雲上限は、先行き6月にかけて112.40円方向に切り上がっている。その後は7月にかけて109.50円方向に急角度で切り下がっており、当座は雲上限の形状に沿う形でのドル上値余地模索、その後にドル急反落という乱高下シナリオは警戒されそうだ。


来週の週明けからの注目は、日本市場の10連休入りだ。4月29日の週明け早朝以降、日本時間の早朝を含めた薄商い時には、日本勢の不在時を狙った投機的な円高仕掛けが常に警戒される。過去の日本休場ケースでは、ちょっとした悪いニュースが出てくると、ドル/円、クロス円でリスク回避の円高が加速されるパターンも見られている。


もっともブルームバーグは26日、「東京金融取引所の外国為替証拠金取引(FX)データによると、個人投資家の対ドルでの円の買い越し(円ロング)は23日時点で20.9万枚と、データがさかのぼれる2006年7月以降で最大だった4月17日(22.3万枚)に迫る高水準になった」と報じた。

国内個人の間では、10連休中の円高リスクに対する備えや、円高の可能性で収益を狙う事前の円買い仕込みが、部分的に進捗している。


その意味で一時的に円高波乱があっても、円売り持ち(円ショート)の巻き戻しや損切り加速などにより、円高円高を誘発させるオーバーシュートは抑制される。

同時に円高が進展しても、前週までに積み上がってきた円の買い越しの利益確定などによる「円の売り戻し余地」が円高を制御。逆に連休中に円高が進展しなかったり、円安方向に振れた場合には、「高水準の円の買い越しの巻き戻し」が思わぬ円安を助長させる可能性も排除できない。



来週の注目は4月30日以降の中国PMIだ。中国では4月からの減税始動を含めた景気対策のほか、緩和的な金融政策などで景気が持ち直しつつある。中国指標で下げ止まりが維持されると、資源国通貨の下支えやリスク回避の円高抑制、あるいは指標の上振れ次第で円安進展の可能性をはらむ。


米国市場では4月30日から5月1日にかけて、米FRBFOMCを開催する。インフレ指標の落ち着きや先行きの世界経済の不透明感などにより、当面の景気慎重見通しや利上げ停止が示唆されると、全般的にドル安が後押しされやすい。


その反面、4月以降は中国での指標改善や米中貿易協議の進展期待、原油などの資源相場上昇、米国での株高が見られてきた。いずれもFRBにとっては、当面の利下げ見送り、場合によっては利上げ再開を促す材料となるものだ。

こうした景気やインフレの「先行きアップサイド方向」の可能性が少しでも言及されると、波乱サプライズをもたらす。ドル全面高が再開される一方、クロス円では米株安などによるリスク回避の円高圧力が警戒されよう。


米国では5月3日に雇用統計が公表される。先行指標である週間の新規失業保険申請件数は、4月上旬にかけて49年ぶりの低水準に改善減少する場面があった。4月はイースター商戦向けの臨時雇用のほか、原油反発による資源業界の改善、春季入りによる建設業界の復調などが関連雇用のプラス要因として注目されそうだ。


また、来週は5月2日に英国中銀が政策会合を開催する。英国のEU離脱不透明感や欧州経済の脆弱性などにより、改めて利上げ遅延や先行きの利下げ余地が示唆されると、ポンドの戻り売り要因となりやすい。

その他、現在は世界的に景気持ち直しや株高などのリスク選好期待が高まる一方、欧州や中国などを中心に構造的な低成長入りへの警戒感は根強いほか、株高も米国などで過熱警戒感が高まってきた。

市場センチメントとして、強弱の両要因が混在している。その中で来週は、米欧中などでの経済指標や、米中貿易協議、アップルなどの米国企業決算といった材料に対し、日々一喜一憂のジグザグ上下動となるリスクにも注意を要する。