来週の展望

来週4月15日-4月19日週の為替相場は、リスク選好による円安や円高抑制、さらには前週からのユーロ、豪ドル、NZドル、南アフリカ・ランドなどの買い戻しについて、持続性と反動揺り戻しをにらんだ展開が想定されよう。


前週はリスク回避の後退を受けて、安全逃避通貨である円とドルは他通貨に対して下落した。円安とドル安のなか、前週までのドル/円はドル高・円安が優勢になっている。

来週以降は他通貨でのドル安が、ドル/円でもドル安として波及してくるか。別のシナリオとして、リスク選好の一服が調整円高を招き、ドル/円でドル安・円高へと作用するか。あるいは来週後半の米国の実質休場や月後半からの日本の大型連休までは、しばらくリスク選好の円全面安が持続するか。こうした方向性を日々手探りで模索する流れとなる。


ドル/円の週足テクニカルでは、ドルの下値メドとして一目均衡表の雲上限111.91円前後、40週移動平均線111.47円前後、6週移動平均線111.18円前後、52週移動平均線111.05円前後、転換線110.92円前後、13週移動平均線110.70円前後などが意識される。

週足の雲上限は、先行き6月にかけて112.40円方向に切り上がっている。その後は7月にかけて109.50円方向に急角度で切り下がっているが、先行き雲上限の形状に沿う形でのドル上昇、その後にドル急反落という乱高下には注意を要しよう。


来週の週明けからの注目は、前週末12日の米国株の大幅高を受けた日本株や中国株などアジア株の動向だ。米国株は米金融決算改善のほか、英国のEU離脱波乱リスクの一服、米中貿易協議の進展期待、米FRBによるFOMC議事録での当面の金融緩和的なスタンス維持などが支援材料になっている。

来週の週明けから、世界的にリスク選好相場が維持できると株高と円安が持続。反対に来週後半からの米国実質休場のほか、来週から本格化する日米企業決算への警戒感などもあり、短期調整的な株安に転じるようなら、為替相場でもポジション調整的な円高の余地をはらむ


よる半年に1度の為替報告書と、15-16日の日米貿易協議・初会合がある。間接的な円安牽制のほか、自動車関税や自動車の輸出数量規制などについて、米国から微妙な圧力が示唆されると、短期調整的な円高要因となりやすい。

一方で米国は現在、中国との貿易協議の大詰め段階にある。前週にはEUへの関税圧力を始動させており、来年秋の大統領選対策を勘案しても、「当座は中国と欧州への対応を優先し、日本への貿易圧力は後ずれさせる」との見方も強い。15-16日の日米協議で目立った対日圧力が見られなければ、過度な摩擦懸念が後退。改めて日本では株高とリスク選好の円安地合いが支援される。


来週の米国株市場では、1-3月期の決算発表が本格化する。全体として減益リスクが警戒されており、決算発表期間中の企業による自社株買い自粛とあいまって、決算失望による米株安とリスク回避の円高は常に警戒されそうだ。

その反面、米企業の当座の収益悪化は、昨年10-12月の大幅株安などで織り込みも進んできた。IMFは前週の世界経済見通しで当座の成長予測を下方修正させる一方、「年後半にかけての世界経済の持ち直し」という見通しも示している。米企業の決算についても、「1-3月期や4-6月期までが最悪ボトムで、その後は緩やかに回復」という先行き見通しが示されると、改めて米株反発の基本軌道が維持されやすい。


その他、来週は米国や欧州、中国などでの経済指標や、日本企業の決算発表、米FRB幹部などの発言に一喜一憂の展開が続く。いずれも根深い世界減速リスクの再確認と、先行きの改善見通しの強弱材料に揺れ動く神経質な市場反応が想定されそうだ。


また、来週後半には米国市場の実質休場、4月後半からは日本市場の10連休が控えている。こうした休場を前にして、早め早めのポジション整理や利益・損失の確定、ヘッジ対応が進む可能性にも注意を要しよう。

その意味で前週までの日米株高や円安については、常に短期調整的な株安と円高が警戒される。同時に前週にユーロが買い戻されたように、これまでの「売られ過ぎ通貨」については短期調整的な買い戻し余地が注視される。