来週の相場

来週5月6日-5月10日週の為替相場は、前週末からの調整的なドル反落、ドル/円でのドル安・円高から派生する全般的な円高の圧力と、中長期スパンでのドルの底堅さや、円の先安地合いの持続性をにらんだ展開が想定されよう。


他通貨では前週にポンドや南アフリカ・ランドが底堅さ、カナダ・ドルやNZドルが下げ渋り、ユーロやスイス・フラン、豪ドルは根強い地合いの弱さと上値の重さが示された。来週以降はこうした各基調の持続性と、前週までの流れの反動調整的な逆戻しが注視される。


ドル/円の週足テクニカルでは、ドルの下値メドとして、26週移動平均線と52週移動平均線の111.22円前後、13週移動平均線111.13円前後、一目均衡表の転換線111.06円前後、300週移動平均線110.75円前後、310週移動平均線110.36円前後などが意識される。

週足の一目均衡表・雲上限は、先行き6月にかけて112.40円方向に切り上がっている。その後は7月にかけて109.50円方向に急角度で切り下がっており、当座は雲上限の山型形状に沿う形でのドル上値余地模索、その後にドル急反落という乱高下シナリオは警戒されそうだ。


来週の週明けからの注目は、前週末NY市場での米株大幅高と安全逃避後退などによるドル反落の影響だ。前週末には米国の4月雇用統計と失業率は改善したが、平均賃金が予想を下回ったほか、製造業雇用は伸び悩んだことで、ドルは下落に転じている。

前週は1日のFRBによるFOMCで利下げ観測が後退し、その後はドル全面高が後押しされただけに、前週末3日には週末前のポジション調整と、過度な利下げ後退思惑の揺り戻しがドル反落を促した。


その中で来週の週明け6日も、日本市場は連休が続く。6日の週明け早朝の薄商い時を狙い、前週末からの勢いのままドル売りや円買い仕掛けが加速される短期リスクには注意を要しよう。

一方で米国では改めて「雇用は底堅く、賃金インフレは抑制」という、熱すぎず、冷たすぎずの適温経済が再確認された。米国株は大幅上昇となっており、来週の週明けアジア株市場は堅調なスタートが期待される。

リスク回避の要因による円高圧力自体は緩和させるものだ。その意味で週明け早朝からドル安や円高の短期波乱があっても、リスク選好の流れがクロス円を中心として円高歯止め、もしくは円安につながる可能性がある。


来週の注目要因としては、7日からの日本市場の10連休明けがある。7日の10時に予定される仲値決済などにかけては、連休中に持ち越されてきたドル買いなどの外貨買い手当てが一斉に集中で発生。短期的にドル高などの外貨高と円安を促す可能性をはらむ。


同時に日本株為替相場ともに、10連休前には株安と円高の加速を警戒した先物などでのヘッジ対応が観測された。一方で連休明け直前の前週末3日には、米国株の大幅高とリスク選好が見られている。7日にかけてリスク選好の地合いが維持されていると、「連休警戒のヘッジ対応の巻き戻し」が、日本の株高と円全面安を誘発させる短期シナリオも注視されよう。


来週は7日に豪州中銀、8日にNZ中銀が政策会合を開催する。根強い中国を始めとした世界景気の不透明感などにより、景気慎重見通しや先行きの利下げスタンスが維持されると、改めて豪ドルやNZドルの戻り売り圧力が支援されやすい。

その反面、前週に中銀会合が開催された米国や英国では、過度な減速警戒姿勢の緩和や、中銀会合というイベントの終了による材料出尽くしなどもあって、会合後にはドル高やポンド高が進展している。豪ドルやNZドルなどに関しても、前回比で景気・物価見通しの下方修正がなければ、短期的な反発を招く可能性は無視できない。


また、来週は8日以降に米中貿易協議が再開される。最終合意に向けて詰めの調整が進展すると、リスク選好による株高や円安、中国経済と相関性の高い豪ドル、NZドル、カナダ・ドルといった資源国通貨などの底上げが支援される。

反対に土壇場での合意難航は警戒されるほか、交渉進展でも「一旦の好材料出尽くし」といった市場反応には注意を要しよう。いずれも円高や資源国通貨安の潜在リスクとなるものだ。


その他、来週は米雇用改善と賃金低迷という強弱指標を踏まえたFRB幹部の政策見通し、FRBの先行き政策が不透明な中での米国債入札と、入札での需要動向を受けた米債金利の行方、中国の景気判断が分かれる中での中国貿易収支、米国での貿易収支や物価統計といった経済指標などが注目されそうだ。こうした日々の材料により、各通貨が一喜一憂の上下動となる地合いが続く。