来週の展望

来週4月8日-4月12日週の為替相場は、リスク選好による円安や円高抑制、全般的なドルの底堅さ、一方での前週からのポンド安やNZドル安などについて、持続性と反動揺り戻しをにらんだ展開が想定されよう。

前週に対円では、ドル、ユーロ、南アフリカ・ランドなどが下限の切り上がり、反対にポンドやNZドルは下落が見られた。こうした流れの持続性と、調整的な逆方向の動きも焦点になる。


ドル/円の週足テクニカルでは、ドルの下値メドとして一目均衡表の雲上限111.64円前後、40週移動平均線111.43円前後、6週移動平均線111.17円前後、52週移動平均線110.96円前後、転換線110.79円前後などが意識される。

週足の雲上限は、先行き6月にかけて112.40円方向に切り上がっている。その後は7月にかけて109.50円方向に急角度で切り下がっているが、先行き雲上限の形状に沿う形でのドル上昇、その後にドル急反落という乱高下には注意を要しよう。


来週の週明けからの注目は、前週末5日の米国株の底堅さによる日本株や中国株などアジア株の動向だ。米国株は米雇用時計の改善と賃金低迷を受けた「インフレなき景気の底堅さ」という、適温経済の再開期待が下支え要因となった。

一方でトランプ米大統領FRBに対し、利下げと量的緩和再開の圧力を掛けている。トランプ発言に対し、米国での株高や金利低下、ドル安の反応は限定的となったが、来週以降に改めて材料視されてくるか否かも注視されそうだ。


基本的に前週末段階では、米中貿易協議の進展期待や英国のEU離脱についての延期観測などがリスク選好を後押しさせた。米国の雇用統計の底堅さで、過度な世界減懸念も一服になっている。

来週の週明けからもリスク選好が維持できれば、緩やかながらも円安やドルの下限切り上がり地合いが継続。反対に一旦の好材料出尽くしや、根深い世界減速不安、米中、英国に関しての深刻懸念が残るようなら、ポジション調整的な円高に注意を要する


来週は8日にOECD世界景気先行指数、9日にIMFによる最新版の世界経済見通しが公表される。改めて世界経済減速の深刻さと長期化リスクが示されると、日米中などの世界株の調整反落と調整円高の可能性が警戒される。

その反面、最近は中国、米国、欧州などで、経済指標に一旦の下げ止まりも散見され始めた。中国などでの景気刺激策や各国中銀による金融緩和の再開、世界的な金利低下、資源相場の安定化といった追い風を受けて、先行きの世界減速「底入れ」シグナル点滅も注目されそうだ。


来週の注目材料としては、10日のECB理事会がある。欧州は景気減速の圧力が続いているほか、英国のEU離脱を巡る混迷も経済に重石となったままだ。その中でECBから一段の景気見通し下方修正や利上げ遅延、先行きの利下げを含めた緩和強化が示唆されると、ユーロの下落材料になりやすい。

一方でECBが緩和回帰を示唆すると、欧州株などの世界株にはプラスとなり得る。その意味でECB理事会では、景気刺激策の強化姿勢が、先行きの欧州経済や株価の下支え期待となり、「一旦の材料出尽くし」もあって、短期的にユーロが買い戻される余地も残されている。


来週後半には、11-12日にG20財務相・中銀総裁会議が開催される。前週までには米中が双方の景気減速配慮もあり、貿易協議で歩み寄り姿勢を見せた。その延長の形で、G20会合でも各国が「景気悪化の回避と景気テコ入れ政策強化」で協調と歩み寄りを示すようなら、世界株高とリスク選好の円安、資源国通貨の持ち直しなどが支援されやすい。


その他、来週は12日前後から米国株市場で1-3月期の決算発表がスタートする。過去実績として四半期ごとの決算発表時期には、決算警戒や米国企業による自社株買い自粛などにより、米国株は下落となる波乱パターンも見られてきた。しかも今回の決算発表では、減益多発のリスクも警戒されている。

決算発表の本格化にかけては、一旦の利益確定やポジション整理、ヘッジ対応などによる米国の株安も注視される。


その反面、米国企業の業績減速については、昨年10-12月の株価急落で織り込みも進捗してきた。1-3月からは金利低下やドル高の抑制、過度な貿易摩擦懸念の一服、昨年の大型減税や財政出動の反動剥落の一服などが米企業の下支え要因となってきた。

その意味で米国企業の決算発表では、事前の悪化警戒に対しての「懸念ほどには悪くない」、「一旦の悪材料出尽くし」といった市場反応も想定されそうだ。